2022/09/15

地域とコンテンツ

映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』のククルス・ドアンの島はどこなのか?を考察


あれから
40年、あの1年戦争の中のひとつエピソードに焦点を当て「連邦の白いやつ」が帰ってきました。

ガンダムの地上編では世界の様々な実在する場所が描かれています。

「ククルス・ドアンの島」は日本のどこかの島という噂もちらほら耳にするのですが、いったいどこなのでしょうか?
考察してみました。

『機動戦士ガンダム』とは

【概要】

『機動戦士ガンダム』は、日本サンライズ製作のロボットアニメで1979年からTV放送されました。現在までにこの「ガンダム」シリーズは数多くの作品が発表されていますが、このシリーズの第一作目であることから「初代ガンダム」や「ファーストガンダム」などの名でも呼ばれています。

総監督は富野 由悠季(とみの よしゆき)TVアニメ全43話、『機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編』『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙』の3本の映画が当時上映されました。

この頃、ガンダムのプラモデル・通称「ガンプラ」が、一大ブームとなりました。


【あらすじ】

宇宙世紀0079年、増え過ぎた人類がすでに宇宙のスペースコロニーに移民してから半世紀が過ぎていました。宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府との独立戦争が勃発します。1ヶ月余りの戦いで双方の総人口の半分を死に至らしめる結果となりました。

開戦から8ヶ月あまり経過したころ、ジオン公国の「赤い彗星」の異名を持つシャア・アズナブル少佐が、部下を連れサイド7の偵察に出向き、部下3名がザクに搭乗し2体のザクがサイド7に潜入します。

混乱のさなか、少年アムロ・レイが連邦の新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込み、ザクを撃破します。しかし、その戦闘によりサイド7は損壊し、ホワイトベースに乗り込み脱出することに。

アムロはここからガンダムのパイロットとしてホワイトベースとともに戦乱の運命を歩むことになるのです。



映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』とは


【概要】


2022
年6月3日に公開された映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は、ガンダムシリーズの第一作目『機動戦士ガンダム』のひとつのエピソードがピックアップされた作品です。それは、TV放映された『機動戦士ガンダム』第15話「ククルス・ドアンの島」がもととなっています。

安彦 良和(やすひこ よしかず)監督により製作されました。
安彦監督は、
TVアニメ版ではキャラクターデザインを担当していました。

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』予告映像



【あらすじ】


ジャブローでの防衛戦に勝利した地球連邦軍は、ジオン地球侵攻軍の本拠地オデッサを攻略するための作戦を決行します。ホワイトベースは、最前線に向かうべく最後の補給地ベルファストへ向け航行。そんな中、ホワイトベースのクルーにある任務が言い渡されます。

無人島、通称「帰らずの島」にいると思われる残置諜者を掃討せよとの指令。アムロたちは、島の探索に向かうがそこで見たものは、いるはずもない子どもたちと一機のザクの姿でした。

そこに居た漢の名は「ククルス・ドアン」。彼の目的はいったい・・・。

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』|冒頭10分公開



ククルス・ドアンとは

今回の映画の「ククルス・ドアンの島」と呼ばれている理由は、ククルス・ドアンという人物がこの無人島に滞在していることにあります。

ククルス・ドアンは、元ジオン公国の兵士で、ザクに搭乗したまま逃亡している脱走兵です。彼は元来とても誠実な人なのですが、武骨で寡黙、そのうえ不器用であるため誤解されやすい人物なのです。かつては、あの「赤い彗星(シャア・アズナブル)」と並び称されるほどの歴戦のMS(モビルスーツ)パイロットでもありました。

そんな彼がなぜこんな島に子どもたちと一緒に暮らしているのでしょうか?




ククルス・ドアンの島とはどこなのか?を考察

【シナリオから考察】

「ククルス・ドアンの島」とはどこなのか?まず、シナリオから考察していきます。

映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」公式サイトの「
STORY(ストーリー)」を読んでみると、ジャブローでの戦闘後、作戦前の最後の補給地ベルファストに向け航行し、その後目的地であるオデッサに向かうことがわかります。

場所を確認してみるとジャブローは、架空の地名ではあるものの南米のギアナ高地ロライマ山と設定されています。オデッサは、実在する都市で東欧のウクライナ南部あたりに存在します。
作戦前の最後の補給地ベルファストは、こちらも実在する都市で北アイルランド最大の都市です。

このことから南米から大西洋を渡り、北アイルランドを目指していることがわかります。

ベルファストに向かう途中にホワイトベースが寄港していた港町が、スペイン・カナリア諸島のグラン・カナリア島ラス・パルマスです。この地でホワイトベースは、地球連邦軍参謀から残置諜者の掃討を命じられます。その島の名前は同じくカナリア諸島の「アレグランサ島」です。

ということで映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』での「ククルス・ドアンの島」はカナリア諸島の島のひとつ「アレグランサ島」ということがわかりました。



しかし、ここまで読んでいただいてTVアニメ『機動戦士ガンダム』をよく知っている方なら
「あれ?」
と感じた部分があると思います。

そうなんです。
TVアニメ版では、ジャブローのエピソードはオデッサでの戦闘の後でおこなわれることになっていました。

TVアニメ版『機動戦士ガンダム』では、地球に到着し北米大陸でのガルマとの戦闘の後、ジオンの追撃を逃れたホワイトベースは、太平洋を横断し日本の海岸へと停泊します。
13話「再会、母よ...」では、宇宙への移住を嫌い地球で一人暮らしをしている母に会うため、アムロは生まれ故郷である鳥取県に、コアファイターで立ち寄っています。

そして、第15話「ククルス・ドアンの島」に続きます。
その後の第
16話「セイラ出撃」では、塩が不足したホワイトベースが塩の補給のために「さまよえる湖」との別名を持つロブ・ノール湖に立ち寄りますが、ここは中央アジア、タリム盆地のタクラマカン砂漠北東部にかつて実在していた塩湖を指します。

そのことから、日本から北上して中央アジアに移動する間に「ククルス・ドアンの島」は存在するはずです。
ということは「日本海に存在する島なのではないか?」という考察ができるのです。


そうなのです。
映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」と
TVアニメ版『機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」は、設定上まったく違う島なのがわかります。

なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?




【TVアニメ版『機動戦士ガンダム』でのククルス・ドアンの島はどこなのか?】

上記から「ククルス・ドアンの島」は設定上、映画とTVアニメ版で違うことがわかっていただけたと思います。

では、TVアニメ版での「ククルス・ドアンの島」はどこなのでしょうか?

ホワイトベースが日本のどこに寄港したかにもよりますし、日本の周辺には数々の島が存在しているため断定は難しいところです。しかし、日本から中央アジアに抜ける通り道にある島となると鳥取県の上にある隠岐諸島の島後島及び周りの島々、九州方面の対馬・壱岐・五島列島あたりが考えられます

調べてみると、双葉V文庫出版の『ガンダムの常識 一年戦争編③』の第2章「キャラクター編09 ククルス・ドアンの島は五島列島だった!?」において、五島列島のどこかである旨が記述されています。




なぜ
映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』とTVアニメ版『機動戦士ガンダム』では設定が違うのか?

これには『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』が関係しています。


このTHE ORIGIN(オリジン)はアニメ『機動戦士 ガンダム』をベースにしたコミカライズ作品で、映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の安彦 良和(
やすひこ よしかず)監督がガンダムシリーズ専門漫画雑誌『ガンダムエース』で連載していた漫画です。

オリジンでは「シャア」や「セイラ」の生い立ちなど、TVアニメ版では語られなかった外伝的エピソードが収録されていたり、設定の見直しなどがおこなわれています。

このことから、上記で触れたジャブローとオデッサの戦いの順序が変えられ、ホワイトベースの進行ルートも変更されているという訳です。また、オリジンの中では「ククルス・ドアンの島」については描かれておりません。

2015年には『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』がOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)化され、2018年までに全6章が描かれています。


映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は、安彦監督自身が描いた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』をもとに描かれました。

そのためホワイトベースは大西洋ルートを通っており、「ククルス・ドアンの島」は大西洋上のカナリア諸島の
「アレグランサ島」と設定されたのです。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」第1話プロモーション映像2




まとめ

「映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』のククルス・ドアンの島とはどこなのか?を考察」
ということで紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

TVアニメ『機動戦士ガンダム』が放送されてから40年以上の月日が流れ、あの時の子どもたちはみんな大人になっています。

この
40年の中で様々なガンダムシリーズが登場してきました。その中で初代ガンダムに焦点を当てた今回の映画は、少年だったころの気持ちを想い返させてくれました。

また、初代ガンダムを知らない世代にも十分に楽しめる内容になっていました。


「ククルス・ドアンの島」はどこなのか?を考察してきた中で、よりガンダム
のストーリーと、日本の地理や島々について興味を持っていただけたのであれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


ライター:呉東 和虎

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